鬱(うつ)かも?…と思ったら、まず本当にうつ病かどうかのチェックをしましょう。

うつで仕事を続けられるのでしょうか?不安になりますよね。

診断・治療、もし仕事を休職するとなったら、どうなるのか?

うつにも軽度の症状のものと重度の状態があり、それによって仕事を続けられるかどうか対処法も変わります。

診断・治療・休職から再発防止と職場復帰までの流れを紹介します。


1.鬱病チェック!早期に発見するポイント

鬱 チェック

以下、3点が重要なポイントです。

    □ 2週間以上眠れない日が続いている
    □ 食欲がなく、体重が減った
    □ 何事にもやる気が出ない

中でも、「2週間以上よく眠れない日が続いている」こと。

この状況がうつ病かどうかの診断にも使われる一番重要なポイントです。

なぜ睡眠が重要かというと、睡眠を取ることによって脳を休めることになるからです。

脳が疲れるとホルモンの分泌が悪くなり、精神的な症状が現れやすくなります。

睡眠には身体を休めるだけでなく脳を休めるという機能があります。

「昨日はよく眠れなくて、頭がボーとして身体がだるい。」と言いますが、寝ている時間、脳は記憶の整理をしているのです。

寝ている時間が少ないと脳内の記憶の整理ができていない為に「ボー」っとしてしまいます。

それが継続すると脳の活動が上手く働かなくなり、脳へのホルモン(セレトニン・ドーパミン・アドレナリン)の分泌量が減り、「うつ病」の発症リスクが高まります。

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2.「うつ状態」と「うつ病」の違い

ものすごく気分が落ち込んだからといって、必ずしもうつ病であるとは限りません。

いわゆる「うつ状態(抑うつ症状)」は、とてもよくあることで「熱が38度ある」といった症状のひとつです。

抑うつ状態のうち、2~3週間以上の間ほぼ毎日、1日のほとんど抑うつ状態で、さらに脳の機能の障害を引き起こすほど重症の場合が、「うつ病(大うつ病性障害)」です。

典型的なうつ病(内因性うつ病)は、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっていることが原因で、性格や考え方の問題ではないと考えられています。

この場合は抗うつ薬がよく効き、人によっては治療しなくても時間が解決する場合もあると言われています。

一方、なんらかのストレスや心理的要因が根本にあると思われるうつ病では、原因となったストレス状況の解決や、ストレスの原因から離れたりすることが肝心です。

※うつ病には、「うつ状態」だけが現れる「単極性うつ病」のほか、非常に明るく元気が出過ぎてしまう“躁状態”も現れる「双極性障害」と呼ばれるタイプがあります。

「双極性障害」は、治療方法が異なりますので、「躁状態」もあるという人は、そのことを必ずお医者さんに伝えるようにしてください。


3.うつ病かも…?と疑ったら、病院の選び方

鬱 病院選び

会社に産業医がいる場合は、まずはそこで相談してみましょう。

いい病院を紹介してくれたり、なにかと力になってくれることでしょう。

家族に相談してみるのもいい方法です。

とにかく独りで悩んでいるのはやめて、早く病院へ行く事が重要です。

放置しておくのはよくありません。

病院に行ってちゃんと診断を受ることで

  • 適切な治療が受けられる
  • うつ病というほどではないことがわかって少し安心できる

という場合もあります。

まずは自分が客観的に見て、どういった状態なのかをキチンと把握すること。

これがわかってはじめて対処策がたてられます。

病院に行く場合は、少し敷居が高いと感じる人もいるかもしれませんが「心療内科」ではなく「精神科」の受診をお勧めします。

心療内科では、主に体に症状が出る身体疾患を伴う患者を扱います。

例えばストレスで胃に穴があいたといった症状は、身体疾患とストレス病という精神疾患です。

この場合は潰瘍の治療に加え、ストレス病の治療も必要です。

このように心身両面からの治療を行うのが心療内科です。

一方「うつ病」は身体的な病状を伴わない精神疾患の病気ですので、専門医は精神科になります。

精神科と言っても特に内科クリニックと変わらないです。

心療内科は主に心身症を扱います。

心身症は身体疾患ですから、身体の症状が主訴(主たる訴え)ということになります。

精神科は精神疾患を専門に扱う科です。わかりやすく言えば心の症状、心の病気を扱う科であるということです。

心の症状とは、不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などのことです。

精神症状、精神疾患に関する専門家が精神科医ですから、そういう病態の場合には、たとえ軽症であっても精神科が適当ということになります。

これにはうつや統合失調症はもちろんですが、神経症や不眠症も入ります。

神経内科は脳神経系の疾患を取り扱います。

脳血管障害やパーキンソン病、ニューロパチーなどの神経の病気を扱う科です。
参考:心療内科・精神科・神経内科の違い

相性の良い先生に出逢う事も「うつ病」の場合、大切な要因になります。

「自分の心の状態」を素直にすべて話せる事が重要だからです。

その事で使用する薬が的確に把握でき、治りも早くなります。

では良い先生とは、どんな先生でしょうか?ひとつには貴方の目を観て、話を良く聞いてくれる先生です。

まずは会社の産業医、ネットの口コミ等を参考にしながら自分にあった医師を探すようにして下さい。

うつ病以外にもメンタルヘルスの不調による疾患があります。


4.うつ病の治療方法

鬱 治療法

1)投薬を続けながら働く

この方法で治療を続けられるのは「軽度のうつ病」の方です。

仕事を続けるかどうかは、担当医と良く話し合いの上で進められた方がよいと思います。

うつ病の場合、一番の治療法は『休息』と言われています。

とにかく休むことが最も大切だからです。

勤務先と相談して、ストレスやプレッシャーの少ない業務に配置転換してもらうなどの処置をしてもらうことも検討しましょう。

投薬としては、精神安定剤・抗うつ剤・睡眠薬等を使用します。

最近の薬は、非常に副作用も少なく安心して服用することができます。

2)自宅療法

上記の方法を3ヶ月くらいの期間継続しても効果がない時には、休職を検討しましょう。

担当医と良く相談して、会社に休業届を提出して自宅で療養します。

「そんな事をしたら出世に影響してしまう」と考えてしまうかもしれませんが、長い人生を考えたら治療に専念した方が早く治り再発のリスクも減り、結果的に元気に働ける期間も長くなります。

3)入院して治す

特に女性の場合、家庭での家事全般の仕事を行うために治療に専念出来ないことが多いのが現状です。

ここはひとつ思い切って家の事を忘れましょう。

ゆったりと治療した方が早期に回復します。

現在の精神科病棟は隔離されておらず、一般病棟と全然変わりません。

落ち着いた環境でリラックスして治療に専念出来ます。

処方された薬は必ず服用すること

「うつ病」の治療に際して最も大切な事は、処方された薬を必ず服用する事です。

自己判断で薬を飲まなかったりしないようにしましょう。

ネットなどの情報や個人の体験談を見て服用を勝手に止めてしまうと治療の長期化の原因になります。


5.職場復帰(会社・社会)に向けて

鬱 仕事復帰に向けて

1)職場復帰への基準

  • 十分に睡眠をとることができる
  • 食欲もあり体重も元の状態に戻ってきた
  • 精神的にも安定した状態になってきた

以上が、復職を検討する時期です。

担当医と相談の上、会社復帰のスケジュールを決めましょう。

そして、復帰までの間に体力づくりに努め、体力を回復させましょう。

ここで重要な事は、焦らない事です。

ゆっくりと元の状態に戻しましょう。

2)会社(産業医又は人事部)との相談

(1) 部署の異動

場合によっては、職場や部署を以前と変更してもらうと良いでしょう。

働く場所や職務内容を変える事で環境が変わり、心が変わります。

(2)勤務時間

会社が許せば、定時出勤して半日勤務から始めるのがいいです。

丸1日働く場合も定時退社が基本。

残業などしないようにしましょう。

焦らずゆっくりと仕事に慣れていく事が大切です。

6.再発防止策

1)家族と話し合いの場を持つ

うつ病の再発防止には家族の助けがとても大切です。

常に話し合いの場を持ちましょう。

日常的に会話する事が最大のストレス発散につながると同時に問題解決にも役立ちます。

2)病院へは定期的に

病院へも定期的に訪れ、担当医とコンタクトを取りましょう。

あなたの言動によって医師はあなたの状態を確認できます。

的確なアドバイスをもらうために、キチンと通院を続け診断を受けましょう。

3)投薬された薬とキチンと飲みつづける

さきほども言いましたが、少なくとも半年は薬を飲み続けましょう。

投薬された薬は、決められた量を守ってください。

多く飲んだり、勝手に少なくしたり頻度を減らしたりしてはいけませんよ。

4)良好な睡眠をとる

そして最も大切な事は、良好な睡眠をとる事です。

睡眠することで身体の疲れがとれるのではなく、脳を休めることで疲れが取れるのです。

出来るだけリラックスして休むことを心掛けしましょう。


「うつ病」は決して怖い病気ではありません

鬱 心の風邪

うつ病は、「心の風邪」と一般的に言われています。

誰でも仕事で失敗したりして、ちょっと落ち込んだりすることはありますよね。

筆者もそんなことはしょっちゅうです。

平成18年に発表された調査結果によると5~6人に1人はなんらかの精神障害を経験したことがあり、そのうち6.3%の人がうつ病を経験しています。

これは結構多い数字ですよね。

あなたの友人や知り合いにもうつ病を発症した人はいるのではないでしょうか。

あんなに明るく元気だった人が……ということは珍しくありません。

誰でも罹る可能性はあるし、だから、こじらせないことが何より大切

ガンや身体の病気と同じく、早期発見・早期治療が最も有効です。

発症からの経過時間の長さによって、その後の治癒期間に大きな影響を与えると同時に、再発率にも影響を及ぼします。

その為「自分は大丈夫だ」と過信せず、正しい知識を持っている必要があります。

その知識で早期に鬱に気付き、適切な対処、治療をすれば、治りも早く再発も少なくなります。

一番大切な事は、自分独りで勝手に決めないことです。

必ず誰かに相談しましょう。

うつ病の場合、病気を発症するまでにかかった時間の3倍は全快までに必要と言われています。

ゆっくりと時間をかけて治しましょう。

いまではとても良い薬が沢山あります。

治療に専念をすればキチンと完治しますから安心してください。

落ち着いて治療することが大切

仕事を続けながら治療する方法もありますが、理想は休職あるいは退職していったん仕事から離れてじっくりと治療に専念することです。

それでも仕事を辞めるわけにはいかないという人は、少しでもストレスを軽減したり、厳しい状況から遠ざかることを考えてください。

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うつに適切な対処をして、あなたの仕事が楽しいものになりますように。