老後の資金はいくら必要なのでしょうか?

アラフォー世代ともなってくると定年退職後=老後のことが気になってきます。

老後資金の必要額まで貯金しようとしても、住宅ローンや子どもの教育費に学費などでお金は出て行くばかりで、ちっとも貯められない。

年金制度も頼りないし、いったいどうなるのやら……と、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

そんな不安を解消するため、老後に必要な貯蓄額、頼りない年金制度の見通し、老後の生活にいくら必要なのかを調べてみました。


老後資金の必要額はいくらなのか?

週刊誌やマネー雑誌などを見ていると「老後にはこれだけ必要!」といった記事をよく見かけます。

ただ、その額はさまざまで、3000万円だったり5000万円だったり、1億円だったりということもあります。

そんなに貯められないよ!」と悲鳴を上げている人も多いかと思いますが、実際のところ、いったいいくら必要なのでしょうか?

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老後資金1億円の場合…ざっくり計算してみた

たとえば1億円という額の場合、どんな計算がされているのでしょうか?

仮に65歳から90歳まで、老後の期間を25年としますと、1年間に使うお金は400万円。1ヶ月で約33万円になります。

・・・これが多いか少ないか。人によって、考え方や感覚によって、現在の生活費の水準、持ち家ローンの有る無しによって、全然違うでしょう。

しかし、老夫婦2人の生活で、生きていくために33万円が必要でしょうか?

ここにはさらに支給される年金もプラスされるので、1ヶ月50万円以上使う計算になります。

もちろん頻繁に旅行にでも行けば必要なのでしょうが……。この1億円というのは、かなり余裕ある老後を送るために必要な額のようです。


老後資金の現実的な額は?

例えば1か月に必要な額を30万円。期間を平均年齢に近い85歳までの20年間として再計算しますと、7200万円になります。

ここから年金の支給額(18万円×12ヶ月×20=4320万円)を引けば、2880万円になります。

老夫婦2人、1か月に30万円の生活費を確保するためには、65歳の時点で3000万円あれば、十分なのです。


老後資金の最低必要額は?

とはいえ、65歳までに3000万円というと、けっこうな額のように思えます。

もう1棟、家が建ちそうな金額ですよね…。

ただし、ここには退職金企業年金投資や保険など運用している資金は含まれていません。

これらのアテがある人は、それ以外に必要な貯蓄の額を減らすことができます。

子育てが終わって扶養家族が減れば、必要な生活費も減り、急速に貯金を増やすことも可能です。

老後に必要なお金は?

また、定年退職後もパートなどで多少の収入を得ることも十分に可能です。

もしそのようなお金が別枠で期待できるなら、実際は2000万円もあればよいという計算も可能です。


年金は実際にいくらもらえる?

読者の多くは会社員かと思います。会社員の場合、厚生年金になるので、年収によってもらえる年金の額はそれぞれ異なってきます。

年金手帳

50歳以上の人で自分の年金額を知りたいのなら、毎年、誕生日の頃に送られてくるねんきん定期便」を見てみましょう。

そこに老齢年金の見込額が書いてあります。50歳未満の人は、日本年金機構のサイトでユーザー登録をすれば、ざっくり試算できます。

ただし企業年金はここに含まれません。企業年金制度がある会社に勤めている人は会社の総務部などの担当部署に問い合わせてみましょう

標準世帯の年金額は約23万円!

ちなみに厚生労働省によると、いわゆる標準世帯が現在もらっている年金額は1ヶ月あたり、約23万円になっています。

ただ、この標準世帯というのが、20歳で結婚した夫婦で、夫は40年間会社員、妻は専業主婦というモデルなので、はっきり言ってほとんどあてにはならないかもしれません。

また、先に書いた実質的な目減りが予想されるので、実際はその2割減、約18万円と考えるくらいが現実的かと思われます。

※先の項目での老後資金の必要額はこの数字を元に算出しています。


年金は破綻しないのか?老後の生活は年金次第!

支給年齢が65歳まで伸びたり、ずさんな管理で年金が大量に宙に浮いてしまったりと、ショッキングなニュースが年金周りで起きました。

そのため、年金制度自体に不信感を持ち、その存続を不安に思う人が増えています

老後の年金

確かに年金の担い手である若者の人口はどんどん減り、年金をもらう老齢人口が増えつつある状態では、「大丈夫か?」と思う人が増えても仕方ありません。

最近でも「年金運用の失敗で10兆円の損失が出た」というようなニュースもあります。

ただ、こんなことがあっても、結論から言いますと、年金は破綻するということはなく、もらえなくなるということも、おそらくありません

もちろん、経済状況や運用の失敗、物価が大きく上昇するなどで、年金の額面が下がったり、額は同じでもインフレで実質的に目減りすることはあるかもしれません。支給開始年齢引き上げも行われるでしょう。

しかし、破綻はしないでしょう。もし公的年金が破綻するとしたら、それは国の財政が破綻する時です。

国の借金で財政が破綻する問題は?

ただ、そうはいってもニュースでは国の借金額が変わらず増えていることが報道されていますし、そのことから「国家財政の破綻」を予想する人がいるかもしれません。

確かに国の借金は約1167兆円(2015年度末)と膨大ですが、その借金の大半は国債です。ではその国債は誰が買っているかというと、ほとんどが銀行。

その銀行が公債を買うために使っているお金はなにかというと、国民が預けている預金なのです。

つまり、国の借金の債権者は国民、そのほとんどを身内が持っているということなのです。

仮に外国人が公債を持っていて、それをいっせいに売ってしまえば、ギリシャのように一気に破綻寸前に追い込まれるかもしれませんが、日本の場合、そのような事態は考えにくいのです。

国が破綻しなければ、その国が保証している年金制度もそう簡単には破綻しないのです。


年金の支給額はだんだん減る?

とはいえ、公的年金制度がいっぱいいっぱいなのは事実です。

そのために導入されたのがマクロ経済スライドというシステムです。

これは「年金制度の見直しの時に。その時の出生数や平均余命などの状況を見て支給額を調整する」もので、要するに物価が上がっても、国は年金支給額を上げなくてもいい仕組みです。

つまり、インフレになれば私たちが貰える年金が実質的に目減りする可能性があるのです。

やっぱり年金はあてにできない!

・・・確かにそうです。しかしこれだけで終わっては、余計に年金不信が広がり、本当に破綻してしまいますので、いちおうの対策を打っています。

それが加入者を増やすという手段です。

具体的には2016年10月から、従業員500人以上の大企業を対象に、パート労働者で年収106万円以上の人に、厚生年金と健康保険の加入を義務化するというもの。

そう、近所のイオンで働いているパートのおばちゃんも、厚生年金に加入することになるのです。

年金制度を維持するために、加入者を増やし、年金保険料収入を増やすことを目論んでいるのです。

安倍政権は女性の社会進出をうたっていますが、これはそれにも合致する政策なので、今後、従業員数の少ない中小企業にも拡大していくと見られています。

ただ、維持こそできるものの、実質的な目減りは十分に考えられます。というか、減るでしょう。

また支給開始年齢の引き上げ(もらい始める年齢が遅くなる)も、行われる可能性は濃厚です。

老後資金に年金を当てにするなら、貰える額はさらに少なめに見積もって計算しておいたほうがいいでしょう。

老後破産を防ぐために

さて、ここまで老後資金と年金についてお伝えしました。試算はあくまで一例ですし、予想がたぶんに入っていますが、老後資金と言っても、それほど不安がるものではないことがわかっていただけたのではないでしょうか?

いや、年金は信じられない、やっぱり不安だ、という人も多いかもしれません。

老後破産下流老人がテレビや本で取り上げられて話題になってもいます。


しかし、老後に困窮する人の多くは、計画性のない使い方や浪費が第一の原因です。

収入や資産は人それぞれ。それに見合った生活を続けて健康に生活していくことができれば、自己破産して生活保護ということにはなりません。

まずは自分でいくらお金が作れるのか、いくら必要になるのかを調べてみてください。そしてどこまで節約して生活できるのかも考えてみましょう。

老後の生活設計がキチンとできていれば、老後の不安が少しは軽くなると思います。

老後資金の必要額に足りてない…ヤバイという人は?

65歳で3000万円が現実的なラインの目安とお伝えしましたが、現時点でこれに届きそうにないという人は、何をすればいいのでしょうか?

老後のお金が心配

60歳定年であれば、まずは65歳まで勤めている会社での再雇用、あるいは経験やスキルを活かした再就職が出来れば理想的です。

それが難しい場合は、比較的高齢者できるような仕事を探したり、シルバー人材センターなどに登録して働くなどが考えられます。70歳を越えても働くことを視野にいれた方がいいかもしれません。

いまから副業を始めて稼ぐというのもひとつですし、定年退職後に夢を実現させてお店を開いたり田舎に移住するという方法もあります。

もっと給料の高い仕事に転職する、資格をとって手当で給与アップを狙ったり、バリバリ仕事をして昇進を目指すのもアリです。

すぐに出来る現実的な手段としては、生活費を節約して貯金額を増やす、住宅に次ぐ高い買い物とも言われる生命保険を見直す、少額から金融商品や不動産へ投資するなどが挙げられます。

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いずれも無理のない方法で行うことが大切です。あなたがいまからしっかり計画して、老後資金の不安が解消されますように。