大企業へ就職すれば高い収入を得られるといわれていますが、実際の大企業の平均年収はどうなっているのでしょうか。

厚生労働省を始めさまざまな機関がデータを公表していますが、そもそも大企業ってどのくらいの規模の会社?というところを明確にした上で具体的な平均収入をご紹介します。


大企業の平均年収は265~902万円ってどういうこと?

大企業の平均年収は以下のとおりです。

  • 920万円: 株式時価総額上位30社平均
  • 573万円: 最新版!「生涯給料トップ500社」ランキング
  • 434万円: 連合賃金レポート2015
  • 381万円: 平成26年 賃金構造基本統計調査(男性)
  • 265万円: 平成26年 賃金構造基本統計調査(女性)

なぜかものすごく差がありますね・・・。このように大きな差が出る最大の要因は従業員の定義がマチマチなことです。

厚生労働省の統計(④、⑤)は基本的に全労働者が対象です。正社員、非正社員の区別はありません。

一方、有価証券報告書に記載されるデータ(①、②で利用)は当該報告書を提出する企業の正社員の平均給与です。

大手金融機関や一部の持株会社制度を採用している企業であれば従業員数が数百名程度の持株会社(ホールディングカンパニー)が株式を上場し有価証券報告書を提出することになります。一般的に若手社員はほとんど持株会社に配属されないため、グループ全体の平均よりも高めの給与水準となります。

以下ではこうした特徴を踏まえた上でそれぞれの統計の概要をご紹介します。

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1: 平成26年 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

厚生労働省の調査では、平成26年の大企業の平均賃金は男性381万9千円、女性265万2千円です。

これは皆さんの実感と比べるとかなり低い水準だと思われます。

この調査では常用労働者 1000人以上を“大企業”と定義していますが、この中には契約社員、パート、アルバイトなどの非正社員も含まれています

このため正社員をイメージした大企業の平均年収と比べると相当低い水準になります。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2014/index.html
参考:平成26年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省


2: 連合賃金レポート2015(日本労働組合総連合会)

労働組合の連合もさまざまな統計を公表しています。

従業員1000人以上の企業の40-44歳の平均月額給与(所定内賃金)は36万2千円です。年額換算すると434万4千円になります。

この年齢階層の人数が一番多いため、もっとも平均に近いイメージの数字になりますが、残業手当などを含めればもう少し高い水準になります。

労働組合の調査なので、厚生労働省の統計よりも正社員の平均年収に近いと思われます。

https://www.jtuc-rengo.or.jp/roudou/shuntou/2015/shuukei_bunseki/
参考:連合|連合・賃金レポート2015-不均等は経済成長を阻害する-(2015年春季生活闘争)


3: 最新版!「生涯給料トップ500社」ランキング(東洋経済)

東洋経済オンラインでは、「最新版!「生涯給料トップ500社」ランキング」を公表しています。

有名大企業に新卒で入社し定年まで勤めればどの程度の収入を得られるのか?という疑問に対する答えとしては、これがもっとも分かりやすい資料ではないでしょうか。

調査対象は単体の従業員数が30人に満たない先と平均賃金を公表していない場合を除いた上場企業3239社です。

かなり広い範囲をカバーしていますが、連結ではなく上場企業単体の計数を調査対象としている点がネックです。大手金融機関に多くみられる上場持株会社の場合、傘下の銀行、証券会社、保険会社などは調査対象外となっています。こうした純粋持株会社は本社の中枢機能を担う社員しか在籍していないため平均給料・年齢が傘下子会社より高くなる傾向があります。

また大卒事務系、大卒技術系、一般事務職、高卒技術職などの区分がないため、大卒・大学院修了者の比率の高い企業の平均給料の方が高くなりがちです。

それでも、ほぼすべての上場企業を対象に調査を行っているため、ここに掲載されている上位500社の平均年収の平均値が“大企業の平均年収”のイメージにもっとも近いと思われます。

記事には対象企業の平均生涯給料は2億1765万円と記載されています。単純にこの金額を38年で割ると(大卒で入社し60歳まで勤務する前提)573万円。これが大企業の平均年収とみることができます。

https://toyokeizai.net/articles/-/91596
参考:最新版!「生涯給料トップ500社」ランキング | 賃金・生涯給料ランキング | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト


4: 株式時価総額上位30社平均(はたらくす調べ)

当サイト「楽しい仕事へ@はたらくす」では、大企業を株式時価総額が大きい企業と定義して、上位30社を抽出した上で各社の平均給与の単純平均を計算してみました。

結果は、920万7千円になりました(上場直後で有価証券報告書を作成していない日本郵政、ゆうちょ銀行を除いた28社で計算しています)。

時価総額上位には、トヨタ自動車を始めとする自動車メーカー、三菱UFJフィナンシャル・グループなどの大手金融持株会社、NTTJRなどの政府系企業が名を連ねています。

それにしてもこれは大きな金額です。さすが大企業というべきところでしょうが、その中で注目されるのは、キーエンスとファナックです。

キーエンスは東洋経済の生涯給料ランキングでトップ、時価総額で23位です。ファナックも同じく17位、20位と健闘しています。

事業会社として企業価値と給与の両者を高い水準で維持しているという意味では大変立派です。

一方、時価総額第1位のトヨタ自動車、第4位のNTTなどの超大企業は、平均年収のランキングでみるとトップ30には入っていません。

こうした企業は工場などの現場で働く社員を多く抱えているため、ホワイトカラー主体の企業より平均給与水準が低めになる傾向があります。


株式時価総額上位30社平均年収一覧
順位企業名平均年収(万円)平均年齢決算期東洋経済調べ年収(順位)
1トヨタ自動車㈱838.3 39.12015/3期96
2㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ1113.2 40.033
3㈱NTTドコモ547.9 39.4114
4日本電信電話㈱(NTT)879.9 40.6108
5日本たばこ産業㈱(JT)875.7 44.4191
6日本郵政㈱
7KDDI㈱976.3 41.861
8㈱ゆうちょ銀行
9ソフトバンクグループ㈱1100.7 39.524
10本田技研工業㈱765.8 44.5
11㈱三井住友フィナンシャルグループ1251.3 40.222
12㈱みずほフィナンシャルグループ947.7 40.0103
13日産自動車㈱776.7 42.7332
14㈱デンソー846.3 42.7182
15キャノン㈱769.8 42.02014/12期311
16㈱セブン&アイ・ホールディングス718.2 43.92015/2期
17武田薬品工業㈱945.5 39.42015/3期47
18㈱ファーストリテイリング769.9 36.92015/8期357
19東日本旅客鉄道㈱(JR東日本)704.8 41.22015/3期
20ファナック㈱1278.5 43.717
21東海旅客鉄道㈱(JR東海)719.7 37.1361
22㈱村田製作所726.6 39.5323
23㈱キーエンス1688.2 35.32015/6期1
24富士重工業㈱643.6 38.32015/3期
25ソニー㈱859.8 43.2178
26アステラス製薬㈱1055.8 41.8
27三菱地所㈱1130.2 40.827
28㈱ブリヂストン661.0 38.8
29東京海上ホールディングス㈱1326.6 42.814
30㈱日立製作所861.2 41.0
平均920.7 40.7
2015年12月18日時点

平均年収ではなく自分報酬の最大化が大事

働く人たちにとって大切なことは、当然のことですが勤めている会社の平均年収の高低ではなく、「自分報酬」の大きさです。

自分報酬とは、自分が得られる給料等の経済的な報酬だけにとどまりません。やりがいや名誉などの精神的な報酬と金銭面での報酬の合計が自分報酬です。

給料は少ないより大いに越したことはありませんが、嫌な仕事を無理して続け体を壊しては元も子もありません。

自分にとって最適な仕事のあり方を明確にして自分報酬の最大化を目指してみてはいかがでしょうか?

平均年収についてさらに知りたい人のために、大企業メーカーの40歳平均年収についてはこちら、
大企業40歳平均年収。一流企業のアイツはいくら貰ってる?

年齢別の平均年収、推移などについては、
あなたの稼ぎは平均以上?並み程度?サラリーマン平均年収 年齢別

他人の懐具合も気になりますが、自分がどのくらいの価値があるのかをしっかり見極めてキャリアアップに務めましょう。

あなたが高い年収を得られますように。