ストレスからくる病気は意外と広範囲におよびます。
職場や仕事、もしくは家庭での問題がストレスとなり、それが知らず知らずのうちに身体や心に不調が来てしまう…。
最初のうちは「寝付きが悪い」「やたら肩が凝る」「イライラする」・・・・などの症状や違和感として出る場合もあります。
その段階で収まればまだいいのですが、その症状に対して、なにもしないでいると病気、ストレス性の疾患を引き起こしたりしてしまいます。
早めの対策を打って、いま以上に悪化させないために、ストレスからくる症状の段階や病気についてご紹介します。
1.ストレスが多くなると現れる5段階
ストレスが重なり、ストレス解消できないと徐々に心身に影響を与えてきます。
順番としては、「心理面」→「行動面」→「身体面」と、徐々に変化が出てきます。
もちろん個人差はありますが、参考にしていただけると自分や周りの状態を把握しやすいと思います。
1−1 疲労感
心身両面で疲れを感じます。睡眠をたっぷりとっているのに疲れている。身体の芯に残るような疲れがある。という状態です。
1−2 イライラ感
イライラして他人に対しての口調がとげとげしくなったりします。わずかな刺激でも怒りやすくなったりします。
1−3 緊張感
緊張感からか「会議の発表で取り乱す」「上司に見られていると仕事が手につかない」など大事な場面で力が発揮できないなどの状態が現れることがあります。
1−4 身体の不調感
身体の不調を感じやすくなります。具体的には胸の痛み、動機、発汗、息苦しさなどの不調感が自覚されることがあります。周囲から見ても不調が見られます。
1−5 憂うつ感
物事への興味が湧かない、根気が続かない、集中力が低下してミスが増えるなどの状態が現れることがあります。
2. ストレスが疾患を引き起こす4つの経路
ストレスが多くなるとなぜ身体に不調を起こすのか?その経路は4つあると言われています。
このカニズムが分かると自分の不調がストレスとの関係性があるかどうかの検討がつくかと思います。
2−1 ホルモン分泌の流れ
ストレスが加わると副腎(腎臓の上にある親指ぐらいの臓器)からストレスに対抗するような「ホルモン」が分泌され、代謝を活性化させストレスから身を守ろうとします。
しかし、ストレスにより過剰にホルモンが分泌され続けると、身体のバランスが崩れてきて、様々な病気を引き起こします。
「胃散のコントロール不良などによる胃潰瘍」「疲れが取れない」「血糖値の上昇により、糖尿病を発病する」などです。
2−2 自律神経のバランスの崩れ
昼間は活発に動き、夜には眠くなるのも自律神経という無意識の神経が働いてくれるからです。
この自律神経には交感神経と副交感神経という2つの神経があります。
活発に働いているときには交感神経が働き、リラックスしているときには副交感神経が働きます。ちょうど緊張とリラックスというシーソーのようにバランスをとっていると思ってください。

ストレスの時には交感神経が優位になりますが、その状態が続くとずっと交感神経が働くことになり、皮膚の血管の収縮、心拍数の増加、血圧の上昇、消化管の活動低下などにより、心臓疾患、胃潰瘍、過敏性腸炎をはじめ様々な病気を引き起こします。
2−3 免疫系のバランスの崩れ
急性のストレスによって、ナチュラルキラー細胞の数と機能の低下が引き起こされ、ウイルス感染にかかりやすくなります。
2−4 ストレスを解消しようとして起こる二次的な疾患
ストレスを解消しようとして起こる二次的な問題が起こります。例えば「無駄な浪費」などです。
他にも「飲酒」「喫煙」「過食」「薬物」などでストレスを解消しようとする行動が、さらなる病気や中毒や依存症を引き起こすことがあります。
アルコール中毒や生活習慣病、精神疾患などもストレスが原因であることが多い病気です。
3.代表的なストレスの身体疾患
ストレスが慢性化していくと身体の疾患を引き起こします。疾患のすべてがストレスに関連しているとは限りませんが、これらの疾患がストレスが関係していると思われた時にはストレスを減らすことが必要です。
3−1 耳鼻科領域
メニエール病(耳詰まりからくるめまい)
3−2 消化器系
胃・十二指腸潰瘍
過敏性腸症候群
潰瘍性大腸炎
心因性嘔吐
3−3 整形外科領域
腰痛症
3−4 皮膚科領域
慢性じんましん
アトピー性皮膚炎
円形脱毛症
3−5 循環器系
高血圧症
狭心症
心筋梗塞
3−6 内分泌、代謝系
肥満症
糖尿病
3−7 泌尿系
夜尿症
3−8 神経・筋肉系
緊張型頭痛
不眠症
過食症・拒食症
4.ストレスが引き起こす心の病
ストレスが慢性化すれば身体だけでなく心の病も引き起こします。
4−1 適応障害
特定の状況や出来事のストレスがつらく感じられ、気分や行動面に症状が現れるものです。憂鬱な気分や不安感が強くなり、涙もろくなったり、過剰に心配したり、破壊的な行動をしたりします。

原因は明らかに特定のストレスにあり、それがなければ普通に生活が出来るのが特徴です。
4−2 うつ病
脳内の神経伝達物質の低下することにより発症します。意欲、集中力の低下、倦怠感などの症状が現れます。
大事なことは休養。時に診断を
まずは休養を一番に
ストレスで不調になったらとにかく休養が大事です。
「会社など休めない!」と思う気持ちはわかりますが、重症化すると働くこともできなくなってしまいます。なにはともあれ早期に医師の診察を受けることもお勧めいたします。
ストレスに対処する自分なりの術をつける
また予防策としてはストレスから身を守るには自分なりのストレス対象方法を身につけることです。
最近ではストレスコーピング(ストレスにうまく対処する方法)ということで注目されています。
運動をする、カラオケにいく、旅行に行く、など自分なりのストレス解消方法を探すことが社会人を続けて行く上でも大事なことです。
逃げることも手段にいれて
またストレス源から逃げるということも自分の身を守る上で考慮すべき手段です。

もし仕事環境が悪いなら、転職や異動を申し入れるいうことも考慮にいれても良いと思います。身体や心を壊したら元も子もありません。
自分の中のルールを緩めてあげることも大事
その際に邪魔をするのが自分の中のルールだったりします。
「転職してはいけない」
「我慢しなくてはいけない」
「給料を稼がなくてはいけない」
「人に迷惑をかけてはいけない」
・・・と自分の中のルールで自分をしばり、自分を傷つけ、動けなくしていることが多いのでないでしょうか?
自分の中のルールをやわらげて、自分を守ることもストレスから身を守る上で大事なことです。
「◯◯しなくてはならない」という自分の中のルールがあるなら、少し言葉を弱めて
「◯◯するに超したことはないけど・・・」というように柔らかく表現してあげるだけで受け止め方が変わります。
時に自分の中のルールを緩めてあげることもストレスから身を守る上で必要なことです。
自分が置かれているストレス環境を5分でチェックしましょう
あなたが置かれている状況や環境がストレスに対してどのような状況か5分でチェックすることができます。
厚生労働省が提供している「こころの耳」https://kokoro.mhlw.go.jp/tool/worker/
ストレスの原因が職場である場合に限定されてしまいますが、まずはこれで自分の置かれている状況をチェックしてみましょう。
ストレス性疾患については、
→「職場でのストレス症状。胃・腸・心が病む前にチェックする項目」
過労による病気や症状は、
→「過労の症状はどんなものがある?倒れる前に知っておきたい14の前兆」
あなたのストレスからくる症状が軽いうちにおさまりますように。