「うつ病になってしまった」
「うつ病で休職することに…」
「夫がうつになった…」
「うつ病で退職した」

・・・これからの生活はどうしたらいいのか、収入は? 生活費は? ローンは? と悩んだり焦る気持ちが強くなったりするかもしれません。

うつ病になったら、会社や国の制度などを使って収入や生活費を確保し、治療に専念できる環境を作ることが第一です。そして復職や再就職に向けての足がかりにしてほしいと思います。

うつで休職することになった、もしくは退職してしまった場合に収入源を確保する方法をご紹介します。


1.うつ病で休職、退職した人のための救済制度を利用しよう

うつ病の治療中に、あれこれ悩んだり、心配することは、治療を遅らせる原因になります。

そのためにもゆっくり休める環境を作ることが大事になります。

とはいえ、あせるなといわれても難しい……そのあせる要因として大きな心理負担となるのが「家計をやりくりできるのか?」という不安だと思います。

しかしそんな人のために、うつで休職したり、退職して無職になった人を救済する制度がいろいろありますので、ぜひご活用ください。

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2.休職中に使える収入を確保するための支援制度

まずは収入を安定させる方法を考慮し、治療に専念できる環境を作りましょう。

休職者であれば、会社独自の制度がそろっている可能性がありますので、まずはそこから確認してみてください。

2-1. 有給休暇

まずは有給休暇が残っているか、使っていない有休がたまっていないかを確認しましょう。

給与が支払われる給与日は労働基準法により毎年一定の日数を与えることが定められているので確認してみてください。

2-2. 職場独自の給与保証

職場ごとに違いますが、有給休暇以外の病気療養中の給与保証制度を用意している会社もあります。

就業規則を参照し人事労務担当者に問い合わせしてみましょう。

積み立て年次有給休暇制度 → 消化していない過去の有給を積み立てる制度

賃金補償 → 休職・欠勤している間の賃金を補償する制度

2-3. 所得補償保険

民間の損保会社による保険です。

病気やケガなどで仕事ができなくなったとき、「給与の◯%」や「月額◯万円」などの設定に応じて額が支払われます。

企業単位で「団体長期障害所得補償保険(GLTD)」に加入していることがあります。

最長で2年間受け取れる保険もあるので加入の有無を職場側に確認してみるとよいでしょう。

2-4. 労災申請する

うつになった原因が職場にある場合、労災認定を受けることができます。

業務による心理負担の関係性が強い場合、労災認定が適用される可能性がありますので、自分が該当すると思ったら申請してみましょう。

厚生労働省の労災保険に関する電話相談があります。
0570-006-031:労災保険相談ダイヤル
労災保険リーフレット (http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/dial.pdf)


3.休職者と退職者が使える収入を確保するための支援制度

休職者や一部の退職者が使える収入を確保する支援制度があります。

3-1. 傷病手当金(休職者と一部退職者)

健康保険加入者が取得できる制度です。

・給与の3分の2を1年半ほど受け取れます
・退職にいたっても健康保険に1年以上加入していると退職後も受給可能です(ただし申請は退職してから2年まで)
・個人事業主で国民健康保険の方は傷病手当金がありません

その他色々な条件がありますから各々の健康保険に確認してみる必要があります。

全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp

3-2. 休業補償給付金(休職者と退職者)

労災による給付制度です。

・業務が理由でうつ病を発症した場合に利用できます
・休業の4日目から支給されます
・「休業特別給付金」も併せて支給されます

3-3. 個人の所得補償保険(民間の損害保険加入者)

民間の損保会社による保険に個人で加入している場合です。

・精神疾患などが含まれていない場合がありますので注意が必要です。保険会社に確認してください。
・その他、医療保険など民間の保険で使えるものがないか、担当の保険会社さんに確認してみると良いです。(入院代、治療代など)

3-4. 医療費負担を減らす(休職者・退職者)

うつ病を治療する医療費は結構な額になります。以下の制度を活用すると費用負担が受けられます。

自立支援費医療を活用する
心の病で長期に通院する場合、通常は3割の医療費自己負担を原則1割に出来る制度です。

また自己負担の上限額も「所得ごとに」決められており、それ以上は支払わなくて構いません。

1割負担は診察料の他、薬代やデイケアにも適用されます。デイケアを受ける場合には是非活用すると良いです。

厚生労働省|自立支援費医療制度 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/

・入院費用は高額療養制度を利用できる
入院費用は自立支援費医療では対象外となりますが、高額療養制度を利用すると、保険診療分(食事代、差額ベット代は対象外)の負担を軽減させられます。

全国保険協会のHPから、加入している保険の窓口に問い合わせできます。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150

3-5 失業保険を受ける(一部退職者)

失業状態にあり就職活動中「働く意志がある」という場合、失業保険を受けることが出来ます。

あくまで失業保険は失業の状態のある人を再就職させるためであり、病気の治療中などには適用されません。
お近くのハローワーク等にお問い合わせください。

3-6. 障害年金を利用する(休職者・退職者)

重いうつ病では障害年金が受給できる場合があります。

・国民年金加入者は「障害基礎年金」、厚生年金加入者は「障害厚生年金」が受け取れます。
・障害基礎年金は障害等級に応じて定額が受け取れます。1級であれば年間96万円程にもなります。また子供がいる場合は人数に応じて加算されます。

・障害厚生年金は加入年数などによって支給額が異なります。
・障害年金の申請が認められれば、「精神障害者保健福祉手帳」の申請がスムーズになります。

【受給資格は?】
・初心日時点で年金に加入している
・保険料を一定額払っている
・障害の等級に該当する病気の程度である
・65歳までに年金申請をする

詳しくは下記へお問い合わください。 

サラリーマンなど厚生年金→各地の社会保険事務所

公務員など共済年金→共済組合

自営業などの国民年金→市町村の国民年金担当課 

3-7. 最終手段で生活保護を考える

各種の支援制度をフル活用しても生活が厳しい場合、市町村の福祉事務所に「生活保護」を申請する方法があります

しかし、申請すればすぐに受けられるものではありません。また、休職の場合で受給を受けられることは稀です。

ある程度の貯金があったり、財産を売ればある程度生活できる場合は許可されません。退職して生活に困窮した場合の最後の手段として使うことをご検討ください。

厚生労働省|生活保護制度について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/


4.減らせる支出がないか調べる

収入だけでなく、支出を減らすなどの措置を取ることも大事です。

4-1. 生命保険の支払いの見直し

生命保険などの支払いの見直しをします。保険会社の担当者に確認してみてください。

4-2. 国民年金の支払いなどの延滞

自営業や退職者で国民年金などの支払いの一時停止が出来る可能性がありますので市町村の年金課にお問い合わせください。

4-3. ローン返済を遅らせる

住宅ローンを組まれている場合、がんや脳卒中などに陥った場合は、通常ローン契約時に加入する「団体信用生命保険」によって、残りの住宅ローン返済が免除されることがあります。

ただし、うつ病は対象外のものもあります。

それでもローン返済を遅らせるなど支払いの交渉は出来ます。銀行等に相談してみましょう。


5.その他の使える制度やサービス

家計の収入や支出には直接関係するもの以外にも、活用できる制度やサービスがあります。

5-1. 障害者手帳を所得する

・初診から6ヶ月以上たっていると市町村の窓口で「精神障害者保健福祉手帳」を申請できます
・税制上の優遇措置を受けられます
・生活保護受給者には障害者加算が利用できます
・携帯電話の基本使用料割引が受けられる場合があります
・NHK受信料の割引など色々な割引が受けられ場合があります。
・ハローワークで障害者枠の求職が有利になります

また、自治体によっては・・・
・交通機関の運賃や公的施設の料金の割引・無料
・公営住宅の優先的入居

取得しても自分で申告しない限り会社などに知られることはありません。また、手帳に病名が書かれることもありません。

厚生労働省|みんなのメンタルヘルス|経済的な支援
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/promotion_4.html?open=fukushitechou

5-2. 障害者自立支援法のサービス

病気の程度によってはさまざまな福祉サービスを受けることが出来ます。

・復職支援プログラム(リワークプログラム)
復職のためのリハビリ、コミュニケーションスキル、病気になりにくい心の使い方を教えてくれたり、グループワークによるトレーニングなどを提供しています。
・その他、在宅サービス、グループホームなどによる支援

詳しくは市区町村の担当窓口または各地域の相談支援事業所にお問い合わせください。

厚生労働省|障害者自立支援法のサービス利用について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/b_shien/
      

休職・退職の前に制度の確認をしましょう

いかがだったでしょうか?

見てきたように、休職中と退職後では給与の補償制度など使える制度が違います

それだけ会社に所属しているということは、守られているということかもしれません。

しかし休職したものの、残念ながら職場復帰できずに退職せざるを得ない状況があるかと思います。

身も心も辛く大変な状況かと思いますが、退職してしまう前に、使える制度を再度確認してみましょう。

もしあなたの病気が職場・会社での業務によるものが原因でしたら、いち早く退職したいと思う気持ちもわかります。

しかし退職してしまったら使えないものもあります。あなたやご家族のためもきちんと確認して少しでも不安を取り除くことが大切です。

うつ病は治療に専念することがまず第一。ゆっくり治療する為にも使える制度はしっかり利用しましょう。

 
休職中の給料について詳しくは、
休職したいと思ったら…休職の理由、休職中の給料は?

うつ病で休職する手続き、仕事復帰のためにやっておきたいことは、
うつ病での休職手続き~治療~スムーズな職場復帰のための手順

あなたが、ゆっくり休んで早く回復できますように。