ストレスの解消には、どんな食べ物や飲み物が有効なのでしょうか?
社会人は常にストレスと隣り合わせです。
しかし、毎日があまりに忙しく、ストレス解消の時間すら確保できない…という人がほとんどなのではないでしょうか。
そのような場合は、普段、食べたり飲んだりする食べ物や飲み物を選ぶことでストレス解消をはかる方法があります。
食事は、1日3回欠かさずに食べます。中には忙しすぎて食事を抜いてしまうという人もいるかもしれませんが…。
しかし、いまは休憩時間あるいはデスクに向かいながらや移動時間でも、スナック型の栄養補助食品や飲み物をとることもできます。
そんな環境で働くのはキツイ、転職したい…と思っている人もいるかもしれませんが…。
まずは、毎日の食生活の中にストレスが解消しやすい食品を取り入れると、非常に効率的かつ効果的です。
それでは、ストレスを解消しやすい食べ物・飲み物には、どのようなものがあるでしょうか。
一緒に見ていきましょう。
ストレスを解消しやすい食べ物
1.豚肉
豚肉がストレス解消に良い理由は、疲労回復のビタミンと呼ばれている「ビタミンB1」が多く含まれているからです。

豚肉に含まれるビタミンB1は、部位により量が若干異なりますが、100gあたりに含まれるビタミンB1の量は、豚ヒレ肉が0.98mg、豚もも肉が0.90mgとなっています。
1日の推奨摂取量は、成人女性が1.1mg、成人男性が1.4mgとなっていますから、豚ヒレ肉や豚もも肉を1日に約100g食べると、1日の推奨摂取量に近づくことになります。
そのほか、豚肉には、良質なタンパク質も含まれていますが、タンパク質はホルモンや神経伝達物質を作る栄養素であり、神経の働きが保たれることから、ストレス解消に適した食品と言えるでしょう。
2.カツオ
カツオが持つ特徴的な栄養素は、「アンセリン」と呼ばれる成分です。アンセリンとは、長距離を泳いだり、速く泳いだりする魚に含まれる栄養素で、カツオのほか、マグロやサケなどに多く含まれています。

疲れ知らずの魚が持つ栄養素を人間の体内に吸収することで、疲れにくくなる効果が見られます。そのほかにも、血圧を下げる作用や、活性酸素を除去する作用も見られます。
そのほか、カツオには疲労を回復する効果が見られるビタミンB1や、神経機能を維持するビタミンB12も含まれていることから、カツオを食べることでストレスの改善に効果的と言えるでしょう。
3.ナッツ
ナッツが優れている点は、マグネシウムを多く含んでいることです。ナッツに含まれるマグネシウムの量は、100gあたり200mgとなっています。

マグネシウムは、神経伝達物質である「セロトニン」の合成に欠かせない栄養素であるほか、ストレスが増えると分泌量が増えるホルモン「コルチゾール」を低下させる効果も見られます。
そのほか、ナッツ類は「オレイン酸」や「リノール酸」などコレステロールを下げる「不飽和脂肪酸」が含まれていることから、生活習慣病を防ぐ効果も見られます。
ナッツは栄養価が豊富です。10g食べただけで約60キロカロリーとなりますから、食べ過ぎには注意しましょう。
4.バナナ
バナナは100gあたり86キロカロリーと比較的低カロリーでありながら、栄養価が高い食品として知られています。

また、食物繊維も比較的多めなので、ダイエット食品としてのイメージが高いのではないでしょうか。
そして、ストレスを軽減する効果も期待できます。その理由は、バナナにはビタミンB群やマグネシウムが比較的多く含まれているからです。
ビタミンB群には疲労回復効果やストレスを改善する効果が見られるほか、マグネシウムには、精神を安定化させる効果が見られます。
さらに、セロトニンの材料となる「トリプトファン」が含まれていることも、精神を安定化させ、ストレス解消効果を期待できます。
5.ヨーグルト
ヨーグルトがストレス改善に適している理由は、カルシウムを多く含むことです。

ヨーグルト100gに含まれるカルシウムの量は約120mgとなっています。牛乳に含まれるカルシウムの量は100gあたり約110gですから、ヨーグルトに含まれるカルシウムの量は、それよりも若干多いです。
血液中のカルシウム濃度を高めにしておくことで神経が興奮しにくくなることから、イライラやストレスの改善・予防にも役立ちます。
また、ヨーグルトを食べると、体調を改善する効果も期待できます。
腸はストレスを感じやすい臓器ですが、ストレスを感じると腸内に悪玉菌が増加します。そのような時は、善玉菌を含むヨーグルトを摂るようにしましょう。
腸内環境が改善されることで、体調が改善されやすくなります。そして、腸内環境が改善されると免疫力が高まり、ストレスを受けにくくなるのです。
ストレスを解消しやすい飲み物
6.牛乳
牛乳といえば、カルシウムが多く含まれている飲み物というイメージがありますが、タンパク質やビタミン類もバランス良く含まれています。

そのほか、セロトニンの材料となる「トリプトファン」が含まれています。
牛乳に含まれるカルシウムの量は100gあたり約110mgで、200mlの牛乳を飲むと約220gのカルシウムを摂取することができます。
カルシウムにはイライラをおさえる効果が、また、タンパク質は神経伝達物質を作る栄養素でもあることから、ストレスの改善に最適です。
さらに、トリプトファンは精神を安定化させるセロトニンの材料になることからも、ストレス改善に効果的と考えられます。
7.ココア
ココアがストレス解消に適した飲み物であることは、ココアの香りでリラックスできることからも分かると思います。

ココアがストレス解消にオススメできる理由は、カカオポリフェノールが含まれていること、また、セロトニンに働きかける「テオブロミン」という成分が含まれているためです。
カカオポリフェノールには、ストレスに対する抵抗力が高まる効果が見られるほか、テオブロミンには、精神を安定させる効果が見られます。
さらに、ココア100gあたりに含まれるカルシウムは140mg、マグネシウムは440mgとなっており、ストレス解消に適したミネラルも豊富に含まれています。
8.ハーブティー
リラックス効果が高いとされるハーブですが、ハーブには薬効成分が含まれているものが多いことから、ハーブティーを飲むことでストレス解消の効果が期待できます。

鎮静効果が見られるのは、ラベンダーティーです。
ラベンダーにはリラックスさせる効果が見られることから、ストレスやイライラのほか、憂うつな気分を緩和する効果も見られます。
また、リラックス効果が高いので、なかなか眠れない時に飲むと眠りやすくなります。
カモミールティーもリラックス効果が見られます。
カモミールは万能のハーブと呼ばれており、ヨーロッパにおいては、古くからリウマチや神経痛の治療に利用されてきました。
そのため、精神を落ちつかせる効果は高いと言えるでしょう。
ゆったりとした気持ちで温かいハーブティー飲むことで、さらにリラックス効果が高まることでしょう。
9.炭酸水
水に二酸化炭素だけが含まれている「炭酸水」はストレス解消に良いとされています。炭酸水は「ソーダ水」「スパークリングウォーター」と呼ばれることもあります。

炭酸水がストレスに良い理由は、疲労を回復する効果が期待できるからです。
炭酸水を飲むことで血管に二酸化炭素が吸収されやすくなります。血管内に二酸化炭素が増えることで、酸素を取り込もうとして、血管が広がりやすくなります。
血管が広がると、血行が良くなり、体内の老廃物が排出されやすくなるため、たまっていた疲れが取れやすくなるのです。
ただし、炭酸が含まれた清涼飲料水は砂糖が多く含まれており、飲み過ぎは糖分の取り過ぎにつながってしまいます。
炭酸水は、糖分が含まれていないものを選び、糖分が入った炭酸水は控えましょう。
ストレスを解消しやすい栄養素
先に具体的な食べ物・飲み物を紹介しましたが、ここではそこの含まれている成分がどう働いてストレス解消に役立つのかを見ていきましょう。
ビタミンB1
ビタミンB1は、疲労回復の栄養として知られています。糖質がエネルギーに変わるときに必要な補酵素の役割を果たしています。
ビタミンB1が不足すると糖質を分解できず乳酸やピルビン酸等の疲労物質がたまり疲れやすくなって食欲不振、倦怠感などを招きます。
疲れた時には栄養ドリンクを飲みたいな~と思ったりしますね。栄養ドリンクには、ビタミンB1をはじめとするビタミンB群がたくさん含まれています。
また、ビタミンB1には、神経の機能を正常に保つ働きもあることから、イライラを防ぐ効果も見られるのです。そのほか、集中力や記憶力の維持にも大切な栄養素です。
ビタミンB1 が含まれる食品には、豚肉やたらこ、豆類などがあります。
100g当たりのビタミンB1含有量の上位5食品は以下のとおりです(単位:mg)。
(1)豚ヒレ肉0.98
(2)生ハム(促成)0.92
(3)豚モモ肉0.90
(3)生ハム(長期熟成)0.90
(3)ボンレスハム0.90
ビタミンB1は、水に溶けやすいこと、熱が加わるとさらに水に溶けやすくなること、身体に吸収されにくい性質があることから、こまめに摂取すると良いでしょう。
ビタミンC
ビタミンCがストレス解消に最適な理由は、「副腎皮質ホルモン」の材料の一つであるためです。
「副腎」とは、腎臓の上にある小さな臓器のことです。副腎からはさまざまなホルモンが分泌されますが、それによって、身体は適切な状態に維持されています。
しかし、ストレスが長く続くことにより、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌され、ついには、副腎からホルモンが分泌されにくくなってしまうのです。
ストレスがかかるとビタミンCが減少する、ということを耳にしたことがあると思いますが、このような理由があるためです。
また、ビタミンCはコラーゲンの合成に必要なものです。鉄分の吸収を高め抗ストレス作用を持つ副腎皮質ホルモンの合成を促進します。
寒さによるストレスが強まるとビタミンCの消費量は増えるため、防寒にも気を配りましょう。
ビタミンCはとくに野菜や果物に多く含まれています。代表的な食品としては、柑橘類、柿、ピーマン、パセリなどがあります。
100g当たりのビタミンC含有量の上位5食品は以下のとおりです(単位:mg)。
(1)赤ピーマン 170
(2)貴ピーマン150
(2)ゆず(果皮)150
(4)アセロラジュース120
(4)パセリ120
タンパク質(プロテイン)
タンパク質は、ストレス耐性を高めるのに大切な栄養素です。
タンパク質は、筋肉や臓器をを構成する成分として最も重要なものですが、酵素、抗体、ホルモンや神経伝達物質を作る栄養素でもあります。神経の働きが保たれることから、精神的な安定が保たれやすいと言えるでしょう。
また、身体にストレスがかかった時、身体は心拍数や血圧を高めてストレスに対処しようとしますが、その時にタンパク質が消費されます。普段からタンパク質を摂取して、ストレスに強い身体を維持しましょう。
タンパク質を多く含む食品は、肉類、魚介類、卵類、大豆製品、乳製品などです。
100g当たりのタンパク質含有量の上位5食品は以下のとおりです(単位:mg)。
(1)しらす干し(半乾燥)405
(2)いわし(丸干し)328
(3)イクラ326
(4)筋子305
(5)牛肉(腱)283
カルシウム
カルシウムは健康な骨と歯を作ることで知られていますが、神経の興奮を抑制する機能もあります。
カルシウムはミネラルの一種ですが、カルシウムが不足すると神経過敏な状態になり、イライラしたり、怒りっぽくなったりします。血液中のカルシウム濃度が低くなることで、神経が興奮しやすくなるためです。
血液中のカルシウム濃度が低くなると、骨のカルシウムが血液中に補給されるので、カルシウムの摂取不足がすぐにイライラを引き起こすとは限りません。
しかし、カルシウム不足が慢性化すると、イライラの原因にとどまらず、骨が弱くなってしまう心配もあります。
過剰なストレスが原因で、カルシウム不足とならないよう、普段からカルシウムの摂取を心がけましょう。
カルシウムは、牛乳やチーズなどの乳製品、魚やえびなどの魚介類に多く含まれています。
100g当たりのカルシウム含有量の上位5食品は以下のとおりです(単位:mg)。
(1)桜エビ690
(2)プロセスチーズ630
(3)しらす干し(半乾燥)520
(4)いかなご500
(5)鮎(天然/焼き物)480
マグネシウム
マグネシウムもミネラルの一種ですが、広く知られているカルシウムとは違い、マグネシウムは耳にすることは少ないのではないでしょうか。
あまり話題としては取り上げられることの少ないミネラルではあるものの、マグネシウムは血圧を正常に保つ効果があるほか、骨を構成する成分でもあることから、体内で大切な役割を果たしているのです。
そのほか、マグネシウムの大切な役割としては、精神を安定させる働きがあることです。マグネシウムは、神経伝達物質である「セロトニン」の合成に欠かせない栄養素でもあるのです。
そのため、マグネシウムを摂取することで、イライラが解消される効果やストレスが軽減される効果が期待できるのです。
マグネシウムを多く含む食品には、味噌、油揚げ、納豆など豆類に多く含まれているほか、あおさやわかめなど、海藻類にも多く含まれています。
ビタミンE
ビタミンEには強い抗酸化作用があり、がん、心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病を予防することが期待されます。
ビタミンEが不足すると血行障害による肩こり、頭痛、冷え性等を発症し、これらがストレスを招くことがあります。
ビタミンEは、油、種実類、魚卵に多く含まれています。
100g当たりのビタミンE含有量の上位5食品は以下のとおりです(単位:mg)。
(1)アンコウの肝13.8
(2)筋子10.6
(3)キャビア 9.3
(4)イクラ 9.1
(5)鮎(養殖/焼き物) 8.2
ストレス解消につながる食べ方
食べる食材は大事ですが、どんな食べ方をするのかもとても大切です。
ストレス解消はもちろん、身体全体の健康を考えた食べ方を紹介します。
1.野菜から食べる
炭水化物を最初に摂取する血糖値が急激に上昇します。血糖値の急上昇を防ぐためには、食事の順番に気を配る必要があります。理想的な順番は以下のとおりです。
(2)汁物
(3)肉・魚(たんぱく質)
(4)ご飯・麺(炭水化物)
食物繊維が豊富な野菜を先に食べることにより、糖質の吸収を遅らせ血糖値の上昇を緩やかにできます。食物繊維は噛みごたえのある野菜などに多く含まれるため、よく噛んで食べることにより血糖値の急上昇を防いだり消化を良くしたりすることが期待できます。
2.噛む回数を増やす
血糖値は食事を始めてから約20分後から緩やかに上昇し始めます。噛まずに早食いをして血糖値を急激に上げるとイライラや怒りの原因になります。一口ずつよく噛んでゆっくり食事をするように心がけることが大切です。
3.会話を楽しみながら食べる
誰かと会話しながら食事をするだけでもストレスを軽減できます。人と一緒に食事をすれば、ゆっくりよく噛んで食事するようになるため血糖値の急上昇も防げます。また楽しい時間を過ごせば、それだけでもリフレッシュできます。
ストレスに悪い食べ物・飲み物
さて、ここまで、ストレス解消のための食品をみてきましたが、逆にストレスに対して悪影響のある食べ物・飲み物、摂り過ぎはよくない栄養素もあります。
そちらについても見ておきましょう。
スナック菓子
手軽に食べられるスナック菓子ですが、スナック菓子はストレスには良くありません。その理由は、脂質が多いことです。

例えば、ポテトチップス100gには、脂質が約35g含まれています。おいしいからとポテトチップスを食べ過ぎてしまうと(一時的には幸福感を得られますが…)、脂質の取り過ぎになってしまい、栄養が偏ることでイライラしやすく、ストレスを感じやすくなりがちになります。
また、ポテトチップスの場合、100gあたりのカロリーが約550キロカロリーとなること、さらに、スナック菓子には生活習慣病の原因となるトランス脂肪酸も含まれることから、食べ過ぎには十分に気をつけたいところです。
ケーキやドーナツ
疲れた時は、ケーキやドーナツなど、甘いものを食べたくなりますが、これらもストレスに良い食べ物とは言えないのです。ケーキに含まれる糖分は、種類にもよりますが100gあたりおよそ30~40g、ドーナツに含まれる糖分は100gあたり約30gとなっています。

疲れた時に甘い食べ物を食べると満たされたような感覚になりますが、甘いものをたくさん食べると、体内で糖分を分解するために、酵素やビタミンB群が消費されます。
ビタミンB群には疲労回復効果やストレスを改善する効果が見られますが、ビタミンB群が減少することで、ストレスを感じやすくなってしまうのです。
さらに、ケーキやドーナツにもトランス脂肪酸が含まれていますので、心身の健康を維持するためにも、食べる量は控えめにした方が無難と言えます。
コーヒー
コーヒーを飲むとスッキリとした気分となることから、仕事の合間に一杯飲む方は多いのではないでしょうか。

これはこれでリラックス効果、またカフェインによる覚醒作用もあるため、ストレス解消にもよさそうに思うかもしれません。
しかし、コーヒーの飲み過ぎは、かえってストレスの原因になることがあります。
その理由は、やはりコーヒーにカフェインが含まれている点です。コーヒーには100gあたり約40gのカフェインが含まれており、比較的カフェインが多いとされるココアや紅茶よりも多い量となります。
カフェインには眠気を覚ますなど、頭をスッキリとさせる効果が見られますが、カフェインを取り過ぎると、スッキリ感を通り越して興奮状態となることがあります。これがイライラの原因です。
さらに、カフェインを毎日摂取していると、身体がカフェインを欲してしまう「カフェイン中毒」となることがあり、それによってイライラしてしまうことがあります。
コーヒーは1日2~3杯程度までにとどめ、カフェインの取り過ぎを防ぎましょう。
インスタントラーメン
お湯をかけるだけで簡単に食べられるインスタントラーメンは残業メシとしても活躍する食品です。
しかし、インスタントラーメンもストレスには良くない食べ物です。その理由は、塩分や脂質を多く含むこと、さらに、インスタントラーメンを食べる時は、ほかのおかずを食べることが少ないためです。

インスタントラーメン1食に含まれる塩分の量は約5g、脂質の量は約15gです。
インスタントラーメンを食べることで、塩分や脂質、炭水化物は摂取できるものの、インスタントラーメンを食べる時は、たいてい食事をそれだけで済ませることがほとんどでしょう。そのため、栄養分が偏りがちとなってしまうのです。
栄養分が偏りがちになると、イライラしやすく、ストレスの原因となってしまいます。
インスタントラーメンにはカルシウムやビタミンB群が含まれている製品もありますが、より栄養の偏りを少なくするためには、インスタントラーメンに具として野菜を加える、食後に野菜ジュースを飲む、という方法が効果的です。
ストレスに悪い栄養素
体に必要な栄養素ではあっても、過剰に摂り過ぎるのは特にストレス解消の目的のためには良くない栄養素もあります。
塩分(ナトリウム)
塩分は細胞内外のバランスを調整します。塩分の過剰摂取は、むくみや胃がんなどを招くだけでなく、ストレスとの関係が強い高血圧の原因にもなります。
過剰摂取した塩分を排出する上でカリウムを多く含む野菜や果物を摂ることが有効です。
100g当たりの塩分含有量の上位5食品は以下のとおりです(単位:mg)。
(1)梅干し8,700
(2)あみの塩辛7,800
(3)豆板醤7,000
(4)醤油(淡口)6,300
(5)醤油(濃口) 5,700
脂質
脂質は細胞膜や神経組織、核酸等を構成する成分として重要なものです。
ただし摂り過ぎると肥満を招き、糖尿病、高脂血症、動脈硬化が起こりやすくなります。
暴飲暴食によりストレス解消を図ると肥満になり、それがストレスの要因となりさらに過食を招くという悪循環に陥る恐れがあります。
脂質は、油脂、脂肪の多い肉、乳製品、ナッツ等に多く含まれています。脂質が多いとカロリーも高くなります。
100g当たりの脂質含有量の上位5食品は以下のとおりです(単位:mg)。
(1)バラ肉50.0
(2)フォアグラ49.9
(3)牛肉(サーロイン)47.5
(4)牛肉(テール)47.1
(5)生クリーム(乳)45.0
炭水化物(糖質)
炭水化物とは糖質と食物繊維の総称です。
糖質は人間のエネルギー源になりますが、摂り過ぎた分は中性脂肪として蓄蔵され肥満の原因になります。このため脂質と同様にストレスの増幅につながる恐れがあります。
また、甘いものをたくさん食べると血糖値が急上昇し、しばらくすると急下降を招きます。こうなると血糖値を上げようと興奮系のホルモンが分泌され、それがイライラや怒り・不安などストレスの元になります。
日常的に糖分の多い食べ物を摂り続けると血糖値の調節機能が低下し気分の波が激しくなり、感情のコントロールが出来なくなってしまいます。
糖質は、砂糖、穀類に多く含まれています。これらを主成分とするお菓子は糖質のかたまりです。
100g当たりの炭水化物含有量の上位5食品は以下のとおりです(単位:mg)。
(1)栗の甘露煮56.8
(2)みりん54.9
(3)かるかん54.7
(4)桜餅54.2
(5)大福餅52.8
カフェイン
カフェインとはアデノシン受容体に拮抗することにより覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用を示すもののことです。
1日に250mg以上のカフェインを摂ると夜中に目が覚める回数が多くなるいわれています。
カフェインの過剰摂取により興奮したり睡眠不足になったりすればストレスが増幅されます。カフェインはコーヒー、お茶(緑茶、紅茶、ウーロン茶など)、コーラ、栄養ドリンク、チョコレートに多く含まれています。
100g当たりのカフェイン含有量の上位5食品は以下のとおりです(単位:mg)。
(1)コーヒー(エスプレッソ)280
(2)玉露120
(3)コーヒー(ドリップ) 90
(4)栄養ドリンク 50
(5)コーヒー(インスタント) 45
健康的な食事とは、特定の食材や栄養素に偏ることなく多様な食べ物をまんべんなく摂ることです。
ストレスが溜まっていると思ったら、それを緩和する栄養素の摂取不足や逆に増幅する食品の食べ過ぎがないかチェックしましょう。
ストレスとお酒の関係は?
これまでに、ストレスに良い食べ物、ストレスに悪い食べ物を見てきましたが、ストレス解消で真っ先に思いつくのは「お酒」という人もいるかもしれませんね。
お酒でストレスを解消している人も多いと思いますが、ここでは、ストレスとお酒の関係について見ていくことにしましょう。
お酒を飲むと気分がハイになる?
お酒を飲むと気分がハイになるのは、大脳皮質の抑制が解放されるためです。

大脳皮質の抑制が解放されると、緊張がほぐれやすくなり、また、感情が解放されやすくなるため、気分がハイになるのです。
普段は物静かな人も、お酒を飲むことで陽気な性格に変わることがあるのは、そのためです。
普段は感情をおさえていて、ストレスをため込みがちな人も、お酒を飲んで緊張がほぐれやすくなると、ストレスが解放されやすくなると言えるでしょう。
お酒でコミュニケーションが円滑化
また、お酒を飲むことで、コミュニケーションが円滑になります。
普段はほとんど話をしない人も、お酒が入ることで、楽しく話せるようになります。
また、飲み会の場では、場の雰囲気が盛り上がっていることもあり、普段以上に会話が弾むことでしょう。
さらに、飲み会の場において、普段はなかなか話す機会がない上司と会話したり、また、今まで知ることができなかった部下の気持ちを理解でしたりすることもあるでしょう。
お酒は、ストレス解消だけではなく、コミュニケーションの円滑化も期待できるのです。
美味しくて飲みやすいワインは?
→「飲みやすいワイン 悪酔いしないワインの本命が日本上陸!」
飲み過ぎに注意 二日酔いやアルコール依存症に
しかし、お酒はストレス発散に効果的とはいえ、飲み過ぎは身体には良くありません。
お酒を飲み過ぎると、二日酔いとなって、次の日に苦しい思いをすることがあるほか、飲み会の場で急性アルコール中毒の症状が出る場合があります。
さらに、毎日のようにお酒を飲み続けると、アルコール中毒となってしまう場合もあるのです。
社会人なら、自分のお酒の適量を知り、お酒を飲み過ぎないように心がけることが大切です。
ストレス解消にいい食べ物・飲み物を有効に摂取するには
ストレスとは、身体が刺激を受けた時、その刺激によって緊張を感じる場合を指しています。
Wikipediaでは以下のように説明されています。
「生活上のプレッシャーおよび、それを感じた時の感覚である」
引用:Wikipedia ストレス(生体)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9_(%E7%94%9F%E4%BD%93)
また、コトバンク内のデジタル大辞泉では、以下のように解説されています。
「寒冷・外傷・精神的ショックなどによって起こる精神的緊張や生体内の非特異的な防衛反応。また、その要因となる刺激や状況」
引用:コトバンク デジタル大辞泉の解説
https://kotobank.jp/word/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9-84424
特に会社で仕事をしている場合、上司に叱られる、お客様よりクレームを受ける、膨大な作業に頭を悩ます…というように、絶えず身体に刺激がかかります。
「また、上司にだめ出しを食らってしまった!」
「理解の遅い部下だ!何度言ったら分かるんだ!!」
「無理難題な課題、どうやって処理すればいいんだろう・・・?」
「請求書の金額をミスしてしまった、どうしよう…」
「早くブラックな仕事を辞めて転職したい…」
・・・などなど。
連続的にストレスがかかると、心が苦しくなったり、気持ちが不安定になったりするほか、精神的な不調だけではなく、胃痛や腹痛、睡眠不足など、身体の不調として現れる場合もあります。
多忙な社会人は、なかなかストレスを解消する時間が取りにくいものですが、「食べる」ということ自体に幸せを感じるホルモンを分泌させ、ストレスを軽減させる効果があります。
豚肉や牛乳、バナナなど、身近な食べ物でストレスを解消しやすいことが分かっていただけたかと思います。普段の食事に、ストレスを解消しやすい食べ物を加える、あるいは入れ替えていくことがより効果的と言えるでしょう。
しかし、ストレス解消に良いからといって、たくさん食べ過ぎるのは胃腸にとって良くありません。
特にストレスは胃や腸に大きなダメージを与えます。
暴飲暴食で身体を壊してしまってはなんのためにやっているのかわかりません。
いくらいい成分でも摂り過ぎは逆効果になります。
食事で大切なことは、偏ることなく、バランス良く、そして適量を食べることです。
また、ストレス解消には、食べることだけではなく、普段から身体を動かすことも効果的です。
いろんなストレス解消法を組み合わせながら、ストレスフリーな生活を実現してみてはいかがでしょうか。
簡単にできるストレス解消法は、
→「ストレス解消法ランキング25~簡単にできるものから紹介!」
根本的にストレスに対する感じ方を変えていくには、
→「仕事で精神的に疲れた時…心の疲れを取る5つのストレス解消法」
いっそストレスの少ない仕事へ転職するという方法も、
→「精神的に楽な仕事ベスト30のんびり働ける気楽な仕事は?」
あなたが食べ物・飲み物で手軽にストレスを解消していけますように。